STROKE2025に参加して発表を行ないました。

STROKE2025に参加し、シンポジウムで発表を行いました


2025年3月6日から8日まで、大阪国際会議場で開催されたSTROKE2025に参加し、シンポジウムにて「脊髄動静脈シャント疾患に対する治療選択—直達手術の果たすべき役割—」というテーマで発表を行いました。


STROKE2025とは


STROKE2025は、脳卒中および脳血管障害に関する最新の研究や治療戦略について議論する国内最大級の学術集会です。今年のテーマは「脳卒中医学、輝く」とされ、診断技術の進歩や治療方針の最適化に関する多くの講演が行われました。


シンポジウム発表の内容


今回の発表では、脊髄動静脈シャント疾患に対する直達手術の利点について述べました。脊髄動静脈シャントは適切な治療を行わなければ進行性の神経障害を引き起こすため、確実な治療が求められます。その中で、直達手術が果たす役割について以下の点を強調しました。


直達手術の利点


1. 病変を直視できること

• 手術中に直接病変を確認できるため、病理学的な特性をリアルタイムで評価しながら処置を進めることが可能です。

2. 術中所見を確認しながら処置を進められること

• 術中に血流動態や病変の状態を確認しながら、最適な処置を選択できます。

• 特に、シャント血管の同定や処理において、視認しながらの操作が可能であることは重要です。

3. 必要であれば後戻りが可能であること

• 手術の過程で処置を修正することができるため、術中に判断を変更する柔軟性があります。

• これは、複雑な血管構造を持つ症例において特に有用です。


多施設共同研究から得られた知見


今回の発表では、私たちの施設を含む多施設共同研究のデータも紹介し、直達手術の治療成績を検討しました。特に、無症候例およびくも膜下出血例の治療方針の違いについて議論し、それぞれの病態に応じた最適なアプローチを考察しました。


学会を通じた交流と今後の展望


今回の学会には、インドネシアからの留学生であるサムエル先生とブラハマ先生とともに参加し、親睦を深める良い機会となりました。学会期間中、さまざまなセッションを共に聴講し、治療方針について意見交換を行いました。国や施設によるアプローチの違いを実感し、互いの経験を共有できたことは非常に有意義でした。


また、会場では同じ疾患の治療に携わる血管内治療医の先生方と多くのディスカッションを行いました。直達手術と血管内治療は対立するものではなく、適切な症例に応じて最適な選択をすることが重要です。治療の難易度が高い症例や再発例において、どのようにアプローチするべきかについて活発な議論が交わされました。今後も血管内治療医の先生方との連携を深めながら、より良い治療戦略を模索していきたいと考えています。


今回のSTROKE2025で得た知見を基に、今後も脊髄血管障害の標準治療とエビデンスの確立に向けた研究を継続していきます。